寄稿「二つの大きな大学プロジェクト」 元事務局長 酒井 宏
2021.12.06更新
60周年おめでとうございます。
私と芸文短大のお付き合いは2度あります。平成4年の人文系学科増設時と平成26年の校舎改築着手時で大きな節目の時期でした。
平成4年に事務職員として着任し、まず第一に引き継ぎを受けたのが人文棟でした。かまぼこの様な屋根の形をした建物は特徴的でしたが、当初は雨漏りも多く泣かせられました。建物だけでなく、120台を超えるパソコンが配備された情報処理室や大型プロジェクターを備えた大講義室など、最先端の設備が導入され目を見張りましたが、調整や不具合への対応など苦労も多かったです。
加えて、学生が200余人増え、教員も倍増でした。教授会も大変でした。新しく論客の人文系の先生たちが乗り込んできて、芸術系の先生たちは戦々恐々です。当時指揮者でもあった安永武一郎学長が、あれこれ議論をしながらも、うまくコントロールしていただきました。私も予算担当として支えました。
2度目は平成26年に事務局長として着任しました。この時の課題は、20数年来持ち越しされてきた芸術系校舎の改築。特に、小ホールしかなかった音楽科にとって、悲願の音楽ホールの建設でした。このためには芸術系学科の四年制移行構想に区切りをつけ、短大としての将来構想を策定する必要がありました。有識者による「キャンパス整備基本構想・あり方報告書」を受け、整備事業に着手できました。新たなカリュキュラムに応じた設備対応、芸術系IT化への対応、大雨のたびに溢れる敷地内の排水設備の回復、あけぼの学園跡地の活用、周辺住民への落ち葉対応に苦慮していた大型樹木の整理など多くの難問をクリアして、新しいキャンパスができあがっていきました。
特に、音楽ホールでは、オーケストラの大編成からソロ・アンサンブルの小編成にも対応でき、練習にも地域のお客様を招いてのコンサートにも活用できるものを目指し、各地のホールを研究し、楽器庫や練習室などの配置、音響設計を尽くしました。中山欽吾学長にも熱心に力添えをいただき、『欽ちゃんホール』と呼ぶに相応しいものが完成しました。
事務職員は大学では裏方の役割ですが、学長、先生、学生の方々と親しく接していただき、二つの大きなプロジェクトに関わったことで、思い出深い仕事場となりました。こうした人の輪が大事な財産です。
今後益々の大学の発展をご祈念申し上げます。
酒井 宏