寄稿「私の原点の場所、芸短」 卒業生 中垣 るる(2008年度卒業生)
2021.8.23更新
芸短60周年おめでとうございます。
リニューアルしたキャンパス、新設された音楽ホール、より充実した設備に、想像するだけで学生のみなさんがうらやましいです。
芸短生活で思い出すことといえば、音楽棟の練習室から見えるあの景色、小ホールでの歌の試験、食堂を利用しての定期演奏会の練習、図書館でコピーした楽譜、思い出すだけでなんだか胸がキュンとします。普通科から進学した私にとっては、いつもどこからか歌声や 楽器の音がしてくる生活がたまらなく幸せでした。
中でも音楽科の私たちといえば、先生との一対一のレッスンは最も大切な時間でした。 故阿部容子先生には4年間みっちりレッスンしていただきました。優しさのあふれる甘い歌声、表情、歌うときに溢れ出るパワー、身体の使い方、レッスン室に入るときの心構え 等、毎回のレッスンに向かう時の緊張感は、今でも身体が覚えています。いつも先生は、 「大丈夫、何も心配せずおもいっきりやってみることが大事」とおっしゃっていて、その言葉は今でも大切にしていることのひとつです。
また認定専攻科に進んでからは、個人の学びはもちろん、オペラの重唱、舞台をみんなで作っていくということも学びました。自分の表現だけでなく、同じ歌い手やオーケストラ、指揮者の表現を共に重ねていくことの素晴らしさに気がつきました。グランシアタや音の泉ホールでオーケストラをバックに歌った、フィガロの結婚や魔笛はすごく良い経験となり、一生の宝物です。
そんな経験を芸短でさせていただいた後、声を使うこと表現することをいかし、縁あって地元大分の民放やNHK大分でキャスター・リポーターを経験させていただき、現在はフリーアナウンサー・MCとして活動しています。放送やイベントのたびに、阿部先生がおっしゃっていた言葉が響きます。舞台に出て歌う機会は少なくなりましたが、自分が今できる、しゃべりを通じてこれからも音楽と関わり、音楽の大切さすばらしさを伝えていきたいと思っています。
卒業生 中垣 るる
短大2008年卒 専攻科音楽専攻2010年卒
卒業後、大分放送ラジオリポーター、NHK大分 テレビ・ラジオキャスターを経て
現在フリーアナウンサー 各種イベントMC として活動