寄稿「芸文短大での思い出」 同窓会会長 池邉 沙織
2021.8.02更新
大分県立芸術文化短期大学がこの度、創立60周年を迎えられましたことを心よりお慶び申し上げます。
さて、今回のテーマが芸文短大での思い出という事で、平成16(2004)年当時デザイン科工芸デザインの教授でご指導をして頂いた、吉村正郎先生の事を執筆させて頂きます。
吉村先生を一言で表すと、チャーミングなおじいちゃんでした。小柄で少年のようなきらきらとした目を持ち、いつも真っ黒のTシャツで下は必ずジーンズです。どんなに遠くからでも先生だと分かります。その当時はほぼ毎日ハンチングをかぶっていました。関西弁を話し、学生の個性や感性を大事にしてくれ、大抵のことは『それええな!』と肯定してくれました。工房にあった巨大鍋でラーメンを作ってくれた事なども良い思い出です。先生は独身だったので毎年、先生と結婚すると言いだす学生が数人いました。私もその一人です(笑)
特に印象に残っている授業があります。当時の私は、染色といえば布を染めるだけという小さなイメージしか待つことが出来ていませんでした。ある日先生が、『家に帰ってジーパンを脱いでな、ふと振り返ったら、ジーパンが立ってんねん。
それを見てえらいびっくりしてん!布っておもろいやろ?』と、おっしゃいました。そんなことを考えたこともなかった私は目からウロコが落ちた感覚です。先生は染色が表現方法のひとつであり、概念に囚われず繊維という物質の面白さを追求し、作品を作る魅力を教えてくれました。
先生は平成29(2017)年6月に急逝されました。その翌年アートプラザで開催された「吉村正郎展」で初期から晩年までの作品を拝見し、最後まで布という物質の持つ可能性と向き合いながら作品を作り続けていたのではないかと感じました。
今回この文章を寄稿するにあたり吉村先生の事や芸文短大での生活を思い出し、わずか2年間の出来事ですが人生の中でかけがえのない大切な時間だったなと改めて思いました。
ぜひ皆さんも60周年のこの機会に、当時を振返り恩師や同級生と思い出話や近況報告などして頂ければ、同窓会長として嬉しい限りでございます。
最後になりますが、同窓会では活力ある交流・支援・情報発信を目指しております。
これからも会員相互の交流を深めるとともに母校を援助する事を目的に様々な活動に取り組んで参ります。同窓会の活動にご理解とご協力をお願いいたします。
同窓会会長 池邉 沙織
(平成17年度卒業 美術科工芸デザイン卒業)
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