Epistula Vol.76 海外アーチスト招聘の歴史(2024年9月)
Epistula Vol.76(2024年9月)掲載
財務省時代にひょんなことから海外アーチスト招聘の歴史を勉強することになりました。来日するアーチストの招聘会社が税法上公演の見積もり売上の相当額を税務署に源泉所得税として供託することが必要とされていました。なぜそのような制度ができたかといいますと、戦後の興業の多くは、〇〇音楽事務所という米軍基地を訪問する米国のアーチストの世話をすることから始まったのですが、事務所の中には講演後に税金を払わずに姿を消すものがあったので、そのようなことを防ぐためでした。
この金額がそう大きくない間はよかったのですが、マイケル ジャクソンやニューヨークのコスモポリタンオペラのような多額の出演料を伴う公演の際については多額の供託金が必要になり、銀行から借り入れをしようとしても招聘元の事務所は担保とできる資産も少ないことから、借入金で賄うことができない事態が生じました。そこで、事務所の住所がはっきりしており、事務所の構成や経験などの一定の条件を満たす事務所については、供託金の割合を引き下げることにしました。即ち、「姿を消す」恐れが低いものについては要求水準を下げることにしたわけです。