Epistula Vol.60「私の音楽との出会い」(2020年9月10日)
学長コラム 生きる欣(よろこ)び 「私と音楽との出会い」
Epistula Vol.60(2020年9月10日付)掲載
私と音楽との出会いは1970年に大学進学とともに東京に来てからでした。地元の小中学校では専ら読書に耽り神戸の高校では野球部と生徒会長という忙しい毎日を過ごしていた私は、「体育会系」の典型で芸術文化には全く関心がなかったわけです。
- 大学では父の旧制高校の時代の親友のお宅に下宿させていただいたのですが、ご主人は「音楽マニア」で居間に背丈ほどの高さのコンデンサースピーカーを備え付けていました。トヨタの関連企業の部長で忙しい毎日を送っていたご主人にとって、帰宅後にブランデーをなめながらクラシック音楽を聴くことが何よりの楽しみで、私もお相伴をしながら色々とクラシック音楽について教えていただきました。
- 私の見方を根底から変えたのが、1972年1月から2月にかけてのベートーベン四重奏団と1973年1月から2月にかけて、国立モスクワ芸術劇場バレエ団とともにソ連からの芸術家たちの通訳として日本中を回った時でした。驚いたのは、演奏家もダンサーも私の周囲の野球選手よりも鍛えられた体をしていたことでした。