歌曲の会 第20回記念演奏会「バッハの世界~小林道夫先生を迎えて~」が開催されました

2014.12.10

 

 11月28日、iichiko音の泉ホールにて、歌曲の会 第20回記念演奏会「バッハの世界~小林道夫先生を迎えて~」が開催され、満員のお客様にバッハ音楽をお聴きいただきました。この演奏会は、「第16回大分県民芸術文化祭」の閉幕行事として企画され、バッハ研究では日本での第一人者である小林道夫先生(本学客員教授)による指導の下に催されました。

 歌曲の会は、本学特任教授である宮本修を代表に、本学及び芸術緑丘高校の声楽教員を中心に県内の声楽家で結成された団体。平成4年以来、毎年演奏会を開催し、日本歌曲から世界の歌まで演奏した曲は440曲を超えるもので、歌曲の研究、技術向上、普及啓発に大きく貢献して来ました。今年は、20回目の節目の演奏会ということで、バッハ音楽の権威である小林道夫先生を迎えて、奥の深い分野へ挑戦、飛躍する演奏会となりました。

 今回の演奏会では、全てバッハの曲が選曲されており、独唱、二重唱、合唱と多彩な声楽曲を聴くことができました。オペラこそ作曲しなかったバッハですが、とりわけ声楽を伴う宗教作品では、バッハの音楽固有の表出力の強さに支えられ、聴く者ににとってはさながらオペラのように豊かなイメージを喚起させます。特に、最後に全曲演奏した「教会カンタータ第78番〈イエスよ、汝はわが魂を〉」では、ある時は、独唱で神へ思いを歌に託し、二重奏では軽やかに重なり合う歌が救い主の下へ急ぐ足取りを表現し、合唱によるコラールで荘厳な響きの中に、奥深いバッハ音楽の世界を体現しました。

 伴奏においても、弦楽器をメインした「室内楽おおいた~grand~」に、フルート、オーボエ、リコーダー、オルガンを加えた室内楽アンサンブルが担当しました。充実した器楽アンサンブルが、声楽を引き立て、対話しながら、そしてバックからしっかりと支えます。もちろん、これらの総まとめ役、指揮者兼チェンバロ奏者としての小林先生には大きな力を発揮いただきました。先生の厳しい指導の下、演奏者たちは切磋琢磨し、素晴らしい演奏を披露いただきました。

 本学からは、代表の宮本修特任教授(バリトン)以外にも、愛甲久美准教授(メゾソプラノ)、上田雅美非常勤講師(ソプラノ)、堤俊博非常勤講師(バリトン)が出演し、小川伊作教授がリコーダー演奏と曲目解説で参加し、大きな役割を担いました。

 宮本特任教授は、『沈黙は音楽を生み出す母体であり、またその沈黙の場こそ、神との対話の時だった』という信仰者バッハの言葉を引用し、神との対話、沈黙の中から訪れ来た珠玉のバッハ音楽を来場者と共に楽しみたかったと話されていました。満員の聴衆からは惜しみない拍手が贈られ、所期の目的は十分に果たされたと感じました。

 

  

 

【プログラム】
・チェンバロ協奏曲第5番
・教会カンタータ第32番より二重唱”いまやすべての災いは消えうせ”
・教会カンタータ第79番より二重唱”神よ、ああ神よ”
・教会カンタータ第140番より二重唱”わが友はわがもの”
・ミサ曲「ロ短調」BMV232より
・ミサ曲「ト長調」BMV236より
・ヨハネ受難曲よりアリア ”わたしは喜びの足どりであなたに従います”
・マタイ受難曲よりアリア ”あなたに私の心を捧げます”
・世俗カンタータ第208番よりアリア”良き羊飼いの見守るところ”
・世俗カンタータ第211番よりアリア”ああコーヒーの味わいはなんと甘いことか”
・教会カンタータ第82番「われは満ち足れり」より
・教会カンタータ第78番「イエスよ、あなたはわが魂を」全曲