基礎ゼミナールでANA全日本空輸株式会社 客室乗務員 川副真理子氏による講義を行いました

2016.08.23

 国際総合学科では、1年生必修授業「基礎ゼミナール」で外部講師を招聘したキャリアデザイン教育を行なっています。企業の第一線で活躍される方の話を伺い、将来の職業選択に向けて意識を高めていきます。
 
 7月20日(水)の授業では、「国際企業で働く」と題し、ANA全日本空輸株式会社(以下ANA) 客室センター客室乗務員の川副真理子氏を講師に迎え、客室乗務員の業務、国際企業ANAについて、ご講演いただきました。

 客室乗務員の業務は主に2種類あり、ひとつはお客様が機内で快適に過ごせるようサポートする「サービス要員」と、もうひとつは機内の安全を守る「保安要員」です。客室乗務員というと、一見華やかなサービス要員を想い描きますが、実際機内で重視される役割は「保安要員」とのことです。入社後は大切なお客様を安全に目的地までお届けするために、機内で的確に保安業務を行えるよう、またあらゆる緊急事態に対応できるよう訓練を行ないます。訓練はおよそ2ヶ月にわたり、さらにその内容は大変厳しいものになります。「訓練は覚えることも多く決して簡単ではないが、その厳しい訓練を乗り越えられたからこそ、今はいかなる状況でも落ち着いて対処できるようになった。」とのことです。

 もうひとつの業務である「サービス要員」について、ご自身の体験から客室乗務員として働くことの楽しさと難しさについてお話しいただきました。飛行機内では会社のブランドを背負ってお客様へのサービス業務に携わるため、大きな責任感を感じるそうです。「フライトには一便たりとも同じフライトはない。毎回様々なお客様がいらっしゃって、国際線であれば異なる文化的背景の方もいらっしゃる。10人いれば10通りというわけではなく、それ以上の対応が必要となるときもある。しかも、サービスはやり直しはできない。それだけ難しい仕事ですが、気持ちを込めたサービスがお客様に伝わった時は何にも代え難い喜びになる。」とのことです。

 最後に、客室乗務員という仕事に携わるなかで、大事なのは個人の感性だというお話がありました。サービスは形をもたないために、自分の行為を通して、いかに自分の思いを相手に届けられるかが大事です。相手がいて初めて成立する仕事であるため、他者を思いやる想像力と感性を必要とします。これは客室乗務員に限らず、すべてのサービス業に関わるすべての仕事に通じるものかもしれません。「学生の皆さんには、自由にできる時間があるうちに様々な場所を訪れて、たくさんの人と出会い、自身の感性を磨いてほしい。」と語られました。「サービスに正解はない」という言葉から、サービスの現場で日々切磋琢磨される客室乗務員の皆様を思い浮かべる講義となりました。