留学生スピーチコンテストで優良賞

2015.11.25

 「OITA学生提言フェスタ」の「留学生によるスピーチコンテストが10月31日(土)、ホルトホール大分で開催され、本学国際総合学科の留学生、潘俊雅(はん・しゅんが)さんが優良賞をいただきました。

 スピーチは日本語で行われ、日本語力や表現力、テーマなどを審査されました。潘さんは「日本式の挨拶」をテーマに、力強い声と流暢な日本語で、日中の挨拶についてその違いを、社会情勢などを織り込みスピーチしました。内容を書いた紙を見ることもなく、堂々と5分間スピーチを行いました。

 潘さんは「たくさん練習したので、壇上では緊張せず発表できました。頭の中で、映画のワンシーンのように、自分と会場のみなさんを冷静に見ることができたのですよ」と、壇上での景色を語ってくれました。また潘さんは「図書館の選書ツアーに参加したりして、この半年で多くの日本の小説を読みました」と日本語の上達の秘訣を語りました。
 

 

 <スピーチ全文>

 皆さん、こんにちは。中国・武漢市の江漢大学の学生で、現在、大分県立芸術文化短期大学に留学している潘俊雅と申します。今日は、日本に来てからの数ヶ月間に気付いた中国と日本の日常生活の挨拶の違いについてお話します。どうぞよろしくお願いします。

 日本にきてから二週間後、大学の授業が始まりました。初めての授業は3限目で、午後1時からです。授業が始まる前に、何人かの日本人の友達に会い、「おはよう、潘ちゃん。」と挨拶されました。「あれっ」と不思議に思いながら、とりあえず機械的に「おはよう。」と返事しました。

 「今確か午後なのに、なんで“おはよう”、good morningであいさつするの」と思わず考え込んでしまいました。その後も、毎日同じことが繰り返され、疑問は大きくなる一方でした。そこで、ある先生に聞いてみたところ、ついに疑問が晴れました。それは日本文化では、内と外をはっきり分けて考えることが多く、どんな時間でも、一日のうちで、初めて会う時、「内」の人に“おはよう”で挨拶する習慣があるということだそうです。すなわち、私は学校の一員、内の人とされているということです。こう聞くとやはり嬉しいです。

 また、来日当初もう一つ不思議に思ったことがあります。私は、4人の留学生と一緒に――近くの――に住んでいます。通学するときは、まず徒歩で――駅まで行きますが、その途中で、不思議に思うことがありました。そうです。それは、知らない人に“おはようございます”とか、“こんにちは”とか、の言葉で挨拶されることです。朝出かける時も午後家に帰る時も、よく近隣の人にあいさつされます。特に小学生に「こんにちは」といわれることが多いです。そして、それについて、日本人の友達に聞いたり、ネットで調べたりして、中国と日本の間で挨拶についての教育が違うということがわかりました。日本人の小学生は見ず知らずの人にも積極的に挨拶するように教育されているようです。しかし、中国人の小学生は「見知らぬ人には声をかけるな」と教育されることが多いです。それは、中国では子供の誘拐事件が多発していることも影響していると思われます。そしてその結果、中国社会では、子供から老人にまで、みんなほとんど知り合いにしか挨拶しないようになっています。これは悲しいことだと思います。

 ところで、皆さんは今年3月中旬に日本で起きたある事件のことをご存知でしょうか。ある40代の男性が公園で遊ぶ子供たちに「さようなら」と挨拶しただけで、警察から不審者扱いされたという事件です。その事件はその後大きく報道され、大きな議論を呼びました。「子供に挨拶しただけで不審者になるのか」とか、「とうとう挨拶さえできなくなったんだなあ」とか、「一体、日本はどうなっていくのだろう」とか、さまざまな声がありました。私も、その事件のことを知って、ショックを受けました。日本には挨拶を大事にする文化があるのに、挨拶をしただけで、不審者扱いされてしまうのは実に悲しいことです。このような世の中は私はあまり好きではありません。人に会う時に何も言わずに擦れ違うより、やはり挨拶を交わしたほうが、心が温かくなります。私は、挨拶を大事にしていきたい。たとえ、不審者扱いされてしまってもです。日本人の皆さんにも是非日本の大切な文化を守ってもらいたいと思います。

 最後になりますが、改めて挨拶をさせてもらいたいと思います。初めまして、大分市の友好都市--武漢市からの潘俊雅です。趣味は読書とヨガです。挨拶してくれて、ありがとう!理解してくれて、ありがとう!優しくしてくれて、ありがとう!これからも、よろしくお願いします。