ミャンマー難民キャンプの支援活動を考える講義
2015.06.19
6月5日(金)の国際ボランティア論では、公益社団法人・シャンティ国際ボランティア会の甲斐之彦さん(中津の崇禅寺住職)を講師として招き、ミャンマー難民キャンプ支援活動についてお話しして頂きました。
1995年の阪神・淡路大震災をきっかけに活動を本格化させた甲斐さんは、主にミャンマーなどでの難民支援に関わっています。今年の2月、ミャンマー難民キャンプのメラキャンプに行ったときの様子など、映像を使って学生に解説しました。
約13万人のカレン族が暮らすこのキャンプで、甲斐さんたちは学校訪問をし、子供たちが笑顔で伝統の踊りを披露していました。
甲斐さんの説明によると、キャンプは30年がたち、様々な国のNGOが支援に入っていて国際色豊かな環境だそうです。自治が高度に進み、カレン語、ミャンマー語、タイ語、英語などを学んでいます。結婚もします。
学生から「キャンプの子供たちは学校を出た後、就職するのですか?」との質問に対し甲斐さんは「キャンプでは生産活動はできません。財産もありません。みなさんがこの教室の中だけで、ご飯を食べ、勉強し、結婚して暮らすようなものです」と例えて話しました。
キャンプで生まれた子供たちは外の世界を知りません。TV・ラジオはないので、学校や図書館が情報を受け取る貴重な場所です。甲斐さんたちは中津の小学校などから託された本や絵(コミュニケーションツール)、募金を届けて、教育支援と子供同士の交流に尽力しています。「迫害や拷問を経験し、恐れを抱いて自国に帰ることができない彼らのことを、想像力を働かせ、思うことが大切です」と説きました。
また、甲斐さんたちの支援の手伝いとして、昨年の芸短祭で学生たちがフェアトレード(クラフト・エイド)の説明と製品の販売を行ったことが紹介されました。フェアトレード(クラフト・エイド)は、伝統の製品作りが継承され、民族としての自負や誇りを持つことができる仕組みです。収入で子供たちを学校に通わせたりするなど、自立の支援に役立ちます。
甲斐さんは「フェアトレード(クラフト・エイド)で大切なのは対等な関係です。フェアトレードの商品を買うことで、彼女らのことを考えることができます。『気に入ったから買った』だけでは終わらないのです」と語りました。
「共に学び、共に生きる・シャンティ(平和)な社会の実現」を思う、貴重な講義でした。