「有元利夫展~天空の音楽」でコンサートと講演会を開催しました
2014.12.12
大分市美術館で開催されていた「有元利夫展~天空の音楽」で、本学から2つの連携事業を実施しました。有元氏は、画家でありながらバロック音楽に親しみ、リコーダーを吹き、作曲まで手掛けていました。また、その作品も「フーガ」や「室内楽」「ソナタ」など音楽に関連するものが多数あります。
11月30日、川瀬麻由美教授率いる「芸短ストリング&パーカッション アンサンブルコンサート」が市美術館のホワイエで催されました。コンサートは、有元氏が愛したバロック音楽を前半に、後半はクリスマス音楽を中心に、川瀬先生の解説を交えて進められました。
バロック音楽では、有元氏もモチーフとして取り上げている、ヘンデル作曲「王宮の花火」やバッハ作曲「アリア」などを演奏し、メインでは有元氏自らが作曲した「ロンド」を弦楽合奏用に編曲したものを演奏しました。心が洗われるような妙なる響きは、まさに『天空の音楽』を感じさせます。後半は、まず打楽器の小物を使ったリロイ・アンダーソン作曲の「シンコペーテッド・クロック」と「サンドペーパー・バレエ」。後者では、本当に紙やすりをこする音、しかも3種類の紙やすりを駆使して音楽となっており、聴衆はびっくり。次に「ジングルバル」や「きよしこの夜」などの定番のクリスマス曲で雰囲気を盛り上げ、最後は、映画「アナと雪の女王」の大ヒット曲で締めくくりました。
聴衆を飽きさせない楽曲構成で、打楽器小物も効果的に使われ、楽しい演奏会になりました。何より、窓辺からは上野の山の紅葉を眺めながら、心地よい弦楽器の響きを満喫でき、極上の秋のひとときとなりました。
12月7日、有元展の最終日には、本学学長の中山欽吾の講演会が市美術館研修室で行われました。中山学長は、有元氏と同じく音楽と美術の両方の分野に通じており、また旧来から有元絵画の熱烈なファンということで、今回の講演会となりました。表題は『音楽を奏でる絵画』。
有元氏の画風の生い立ちを解説。東京藝術大学美術部デザイン科に入学後、在学中に渡欧した際、イタリアのフレスコ画に強く感銘を受け、フレスコ画と仏画の共通点を見い出し、キャバスに日本画の画材である岩絵の具を用いることに至りました。そのため、大学では日本画の部屋に入りびたるようになり、奥様を見初めたのだそうです。
有元氏のように、音楽と絵画の融合に試みた画家として、フェルメールを挙げ、全作品の4分の1に楽器が登場するのだそうです。実際のフェルメールの絵画をスライドで見せながら、その絵画の中には、さっきまで弾かれていたであろう楽器の音が封じ込められていると紹介しました。そして、フェルメールの絵には暗示(寓意)が隠されていると解説されました。
当日の研修室には、満員の50名余りの方々が集まり、興味深く学長の講演を聞かれました。いっそう有元作品への洞察を深めた時間となりました。今回の有元利夫展では、小川教授の演奏会も含めて、本学と市美術館の多彩な連携事業を実施することができました。