「第54回入学式・第36回専攻科入学式」を執り行いました

2014.04.04

 

4月3日(木)、「第54回入学式・第36回専攻科入学式」を執り行いました。

今年度は、美術科82名、音楽科64名、国際総合学科128名、情報コミュニケーション学科118名の計392名、また専攻科は造形専攻31名、専攻科音楽専攻23名、計54名が本学に入学しました。式は、昨年夏にオープンした『ホルトホール大分』で行われ、入学生同様、新しい空間での入学式に、教職員も新たな気持ちでのスタートとなりました。

 

 中山欽吾学長からの「成果を挙げるという目標を持って努力し、自らを高めるという行為が人を輝かせます。その気になれば、きっと大きなこともできて、輝く事もできます」とのエールを受け、入学生代表の美術科デザイン専攻の後藤世奈さんと専攻科音楽専攻の田尻菜月さんが「学則を固く守り、学生としての本分をつくします」と宣誓しました。

 

また、広瀬勝貞大分県知事より「全国で唯一の芸術系公立短期大学ということで、同じ志を持つ仲間たちが全国各地から集まって来ていると思います。そんな仲間たちを大切にして、お互い切磋琢磨し、一歩でも二歩でもみなさんの夢に近づけるよう、努力してください。希望を強く持ち、有意義な大学生活を送れることを、心から願っています」と熱いエールを頂きました。

新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。

教職員一同、皆さんの入学を心から歓迎します。

 県内の小学校を訪れて、子どもたちとさまざまな"アート"を体験する「地域ふれあいアート講座」ほか、県内外を拠点に多くの展示・イベントを開催しています。企画・運営は、学生主体で行われます。

 
 
第54回入学式・第36回専攻科入学式学長式辞
 
 

 芸術文化短期大学に入学された三百九十二名の皆さん、また、認定専攻科の第八期生となられた五十四名の皆さん、御入学まことにおめでとうございます。ご臨席いただいた大分県知事 広瀬勝貞様、大分県議会議長 近藤和義様をはじめ、ご来賓の方々、本学役員、教職員とともに、皆さんの入学を心から歓迎いたします。

 また、本式典にご参列下さいました入学生のご家族、関係者の方々にも、心からお祝いを申し上げる次第です。九年の義務教育と三年の高校生活を終えて入学された皆さんは十八歳、十九歳の方々でしょうが、なかには実社会の経験を持ち、更に勉学を志した方もいらっしゃるでしょう。また今年も中国から六名もの留学生をお迎えしました。様々なキャリアを持った人達が同じ教室で机を並べるのが大学のよいところです。

 本学は、八年前から公立大学法人という独自経営を行う組織になっています。芸術系として美術科と音楽科、人文系として国際総合学科と情報コミュニケーション学科の四学科と、それに加えて、造形と音楽の二つの学士号が授与される認定専攻科から成っています。この認定専攻科では、今春六回目の修了生を出し、「芸術学」学士号取得者は開設後六年間で二百四十名に達することになりました。四年制大学と同じ学士号をとることができるコースですから、大学院へ進学し、すでに修士号を獲得した先輩も出ています。専攻科に進まれる皆さんは、一層の専門性を獲得するために、自信を持って更に学習を重ね、所期の成果を挙げられるよう心から願うものです。

 

 さて、卒業後の進路の多様化は、公立短大の一つの特長であります。最終進路の判断を大学二年まで留保できるという学生にとってのメリットも、結果的に活用されつつあります。しかしながら、十八歳人口の減少など、世の中の変化が進む今の時代、その変化に対応したしなやかな経営が必要であり、より魅力的な大学となることが必要です。そのためにはどうすれば良いのか?過去の伝統にとらわれない、新たな発想が必要です。このような考えで、二年前から大学全体の見直しを始めました。

 まず、美術科のうち、デザイン専攻と生活造形専攻を統合して、ヴィジュアルデザイン、メディアデザイン、プロダクトデザインの三つのコースを作りましたが、一年生前期にはその全ての基礎を全員が学び、後期以降、専門別に分かれるというカリキュラムとなっています。選択肢が増えることで、基礎を学んだ後に、自分の進む道を選ぶことが可能になっています。デザインの世界も日進月歩、工業的な応用も進んでいますし、コンピュータの進歩で、ネット社会が大きく拡大し、新たなデザイン分野が広がっていますので、それに合わせた改革です。基礎で美的センスを磨き、それにプラスする形で工業的な進歩を取り入れていくものであり、卒業後の働く場をどう確保するかという考えに基づくものです。


 次に、以前の国際文化学科から国際総合学科への変更を行ってきました。豊かな教養と国際理解を主眼とした教育を土台にして、その基礎教養の上に、「国際コミュニケーション」、「観光マネジメント」、「現代キャリア」の三つのコースを選ぶことが出来るようになりました。教養をベースにしながら、さらに希望する仕事に関する専門分野の基礎知識も学習することで、よりよい社会理解に繋がるよう考慮されています。

 更に、一旦社会に出た方や、シニア時代を迎えて今までやれなかった勉強をやり直したいという方に対して、生涯学習部門も立ち上げました。勿論、この部門は、学生教育本体に比べれば、はるかに小さな存在で、まだ試行錯誤の部分を残していますが、キャンパスに様々な学びの機会があり、様々な年齢の人達が集まるというかたちを作ろうというわけです。皆さんも将来、学び直しに本学に戻ってくることも夢ではありません。
さて、高校を終えて大学に入ると、大きく違うことが出てきます。一年生から、独り立ちして社会に出て行くということを意識した勉強を始めるということです。高校までのように与えられた科目を一方的に受け入れるのではなく、みずから問題を見つけ、それを解いていく力が求められます。

 こんな時に、芸術文化的な環境、芸術系と人文系の学科がお互いに顔が見える範囲のキャンパスで共に二年間学ぶこの環境があることは、いつもどこかで音楽が聞こえたり学内で展覧会が行われたり、反対に芸術系の学生は、外国語を耳にする機会を得たり、パソコンのスキルを身に付けたりと、人文系の学生との交流でより広い世界を知ることにもなります。このように普通の大学にはない環境が、就職した企業から「いい人が来てくれた」と高い評価も受けている理由ともなっているのです。

 本学は、積極的に社会と関わるという方針を掲げていますので、在学中から社会の方々、そして海外の方々とのおつき合いも始まります。こちらから社会に出ていくという前向きの行動、これを「アウトリーチ」と言いますが、音楽科や美術科では、地域の子供達やシニアの方々と一緒に演奏会や写生大会をする学外活動があります。また、人文系では、社会で活躍している方々を招いて勉強し、その活動に参加する地域社会特講とサービスラーニング、テーマを決めて外に出て勉強する実地経験や海外語学留学など、様々な活動が計画されています。こうした学外活動をサポートするために、大分市、由布市、竹田市のほか、文化芸術団体やマスコミ等と友好交流協定を結んでいます。特に、竹田市では、廃校となっていた下竹田小学校を本学のサテライトキャンパスとして活用しており、美術制作、ゼミ合宿など、様々な集いが行われて、地元からは学校の賑わいが戻ったと喜ばれています。

 海外への短期留学制度では、米国、英国、フランス、ニュージランド、中国、韓国で、多くの学生達が国際的な交流の機会を含む有意義で充実した研修をしています。単に海外に行くということに留まらず、本学には英語、中国語、韓国語に正規の教員が配置され、それぞれの国の文化も学ぶことで、真の交流が可能となります。イタリア語は非常勤ですがネイティブの教師が教えます。こうした様々な経験が、学生生活をさらに豊かにしていくと同時に、コミュニケーション力を養うために大いに役立つのです。

 本学は、魅力発見とその発信に努めて「小さくともキラキラ輝く宝石のような」存在にしたいという目標を掲げて六年目を迎えました。最近では、キラキラ輝くのは当たり前になってきたので、次は、ただ輝くだけでなく、地域の力になる活動を続ける中で、「芸短生がいたからできた」といわれるような関係を社会としっかり築きたい、文化が向上するための栄養ともいうべきものを地域に届ける血液の役割を果たしたい、そう願っています。幸い、県の総合文化ゾーンとして、いいちこ総合文化センターと来年に開館する県立美術館とを一体運営することが県で決まっていますので、本学学生の活動が期待されているといってよいでしょう。私は本学の学長の傍ら、いいちこ総合文化センターの館長を仰せつかりました。本学学生の皆さんには、総合文化センターと県立美術館を学びの場、実務経験の場として、また、訪れる多くの市民、県民の皆様との距離を縮めていく交流の場として、大きな役割を果たして頂きたいと願っています。

 

 保護者の皆様、今日入学されたお子さまは、今までの高校時代までとは比較にならないほど独立して自分の道を歩き始めることになります。これからは是非、一歩離れてお子さまを見て頂きたいと思います。入学した年と卒業する年の二年しかない短期大学では、新入生の皆さんは、早ければ二年間の勉学の後に、社会に巣立って行くことになります。本学での様々な経験の中で、自分の意志、自分の力で自分の将来像を描いてみることこそが、これからの本人自身の人生を意味あるものにして行く土台になる、と私は考えています。

 最後に、私が本学の将来をどう考えているのかを申し上げましょう。総合大学とは異なり、本学の規模は決して大きくはありません。しかし、私はキラキラ輝く宝石のような芸短にしたいと言い続けてきたことは、とりもなおさず、学生の皆さん一人ひとりが輝いて、光を反射していくことで初めてできることですから、自らを磨き、どんどん社会に出て行くことが必要となるのです。最近では、マスコミで報道される機会も大幅に増え、「本当に輝いているねえ」といわれるようになりました。
キラキラ輝くと言っても、どうすれば輝くの?と思う方も多いでしょう。それは、この程終わったソチ冬季オリンピック、そしてパラリンピックで、多くの選手達が世界中の人たちにキラキラ輝く姿を見せてくれたことを皆さんに申し上げたいと思います。成果を挙げるという目標を持って厳しい練習に耐え、努力するという、自らを高めるという行為が人を輝かせるのです。

 さて、いよいよオリエンテーションが始まり、皆さんは、最初にどの科目をどの先生に教わるのかを決めていく作業に入ります。明日に向かって、待ったなしの毎日が始まります。その気になれば、きっと大きなこともできる!きっと輝くこともできる!私は学生皆さんにそう断言し、式辞といたします。

 

     平成二十六年四月三日

大分県立芸術文化短期大学 学長 中山 欽吾