三井住友銀行大分支店長が講義を行いました(1)起業とお金との関係についての入門基礎を学ぶ
2015.11.18
情報コミュニケーション学科の社会起業論の講義では、社会をフィールドとした起業とは何かをテーマに講義展開をしています。その時、欠かすことが出来ないのが、資金という「お金」との関係です。この講義では、全15回の講義中3回、三井住友銀行の和田友宏・大分支店長をお招きし、リアルな現場と起業の関係についての知識を習得します。
本講義では、単位認定をするための評価軸として、起業に欠かすことの出来ない「事業計画書」を作成の上、提出してもらいます。さらには、本物の銀行員(和田支店長)を前に、融資をお願いするという場面設定の事業計画発表会を開催します。その第1回目として、10月7日(水)に「起業とお金の関係」についてお話をしていただきました。
社会起業とは、福祉、医療など地域社会が抱える問題から環境や貧困など地球規模の課題まで様々な社会的課題を解決するための事業を起こすことを言います。
社会起業とは、善意の寄付ではなく新規事業アイデアを創出することで、民間企業経営と同じような手法によって社会的課題を解決しようとするものです。講義では、なぜそのようなことが可能なのか。またなぜ、そのような考えが生まれたのか。自分の育った地域を中心に自らが社会的課題解決のための事業アイデアを考えてみる体験を実践的に考究します。
通常、「起業」と言うと成功例ばかり見聞きする機会が多いのですが、今回の講義では失敗するという現実を知っておくべきだという観点から、成功と失敗について取り上げました。
和田支店長は、高校時代に流行していたレコードについて話し始めました。レコード関連の各社が、その技術開発に力を注いでいたそうです。その後、主流はCDに変わり、レコード関連会社は次々と倒産しました。CDもまた、現在ではスマホなどのデジタル時代となり、レコード同様、CD関連会社も続々と消えていきました。和田支店長は、「この変化は各産業で20~30年間隔に起こる話ですが、どうしたら倒産を免れることができるのでしょうか」と投げかけました。
そして、「もしレコードを作っている人たちが、音楽を聴く人がもっと手軽に聞きたいと考えていることを予測して、特化した商品作りをしていたら、レコード衰退とともに倒産せずに済んだかもしれません。目の前のことだけに力を注ぐことはダメなのです」と、起業の成功と失敗のスパイラル、そして先見が必要なことについて語りました。
講義担当の竹内裕二准教授が、「起業は、情熱と強い意志が必要です。知恵(アイデア)があれば資金は向こうからやって来ることがあります。世のため、人のためであれば長く続きます。また、時代を読んで先を見通す力がないとスタートが上手く始められたとしても、その後が続かないのです」とまとめました。
和田支店長はまた、銀行の役割なども話しました。学生たちからは、銀行の仕組みや融資判断の決め手についても質問が上がりました。社会起業の講義に学生たちは、大変刺激を受けている様子でした。