公開シンポジウム『少子高齢社会のまちづくり』を実施しました

2013.12.26

 12月21日、竹田商工会議所にて公開シンポジウム『少子高齢社会のまちづくり-コラボレーションによる新しいまちづくりの形』を実施しました。これは、日本社会分析学会主催、大分県立芸術文化短期大学開催、竹ほたる実行委員会(竹田商工会議所・竹田町商店街・竹田街づくり委員会)後援で開催されたものです。
 日本社会分析学会会員29名、竹田など一般の方が10名参加しました。本学は、竹田市でサービスラーニングなどの活動を行っており、これからのまちづくりについて考え、今後の活動のあり方を研究者や市民の方々と考える機会として実施しました。

 竹田市は平成22年国勢調査で人口24,423人、平成17年から8.0%減、65歳以上人口率40.8%、15歳未満人口率9.4%となっています。年齢別人口率は50年後の日本の状況とほぼおなじです。かつて、まちづくりは住民の自主性や自立性の上に構想され内発的なあり方が強調されていました。その計画は、行政区の枠内で完結していました。少子高齢化過疎化が進行し、財政も厳しい状況にあります。

 現在のまちづくりは、(1)かならずしも産業振興や人口増加を目的としない、(2)アーチストや団体・大学・企業等の外部からの支援 を受け、多様なアクターによって企画運営、(3)一過性のイベントに終わらず外部との交流(時に都市からの移住、着地型観光など)をめざす、といわれます。 他方で、こうしたあり方は、目的の明確性・手段の的確さ・成果の明快さを曖昧にしているともいえます。

 合併後の市町村では、さまざまな住民組織が立ち上がり、活動をはじめたことが評価されていますが、合併特例がなくなり厳しい財政状況が目前です。少子高齢過疎化の進む地方では、人口増など明確な目標を打ち出せません。また、外部アクターの力がどうしても必要となっています。少子高齢化過疎化のなかで、これからのまちづくりはなにを目的に、どのような方法で、どの ように効果をどうみるのか。本シンポジウムでは実際の取り組みを紹介しつつ、協働的な(collaborative)なまちづくりの可能性が議論されました。

 三浦典子(日本社会分析学会会長)「まちづくりの変遷と課題」:吉良伸一(大分県立芸術文化短期大学)「竹田市の現状とまちづくり」:佐藤知博(ハッピーアートカンパニー代表)「食育によるむらおこし」:「中心市街地のこれから」:河野通友(竹田商工会議所専務理事)の報告のあと、室井研二(名古屋大学),奥田憲昭(日本文理大学)氏のコメント、その後、フロアとの討論が行われました。

 討論では、中心市街地の観光ばかりではなく、地元との関係が重要ではないか、地元との関係なくして持続可能な発展はないし地方商店街の魅力は地元との交流のなかで生まれたものではないか。総合的な生活環境のなかで商店街なりを考える必要があるのではないか。地方の豊かさのなかに商店街の魅力を考えるべきではないか。周辺農村部の過疎化高齢化が進行するなかで竹田のような地方中心都市のコンパクトシティーを位置づける必要があるのではないかなど、活発な意見が出てきました。サービスラーニングは学生の成長と地域の課題解決の双方を結びつけるものです。より意義のある活動を行うために今回のシンポジウムを行かしていきたいと思います。